ちょっと真面目な話を書きますが、それにあたっての前提を。
この記事にJR某駅で撮影した写真を使用しておりますが、自分は単に鉄道好きなJR利用者でありJR関係者ではありません。
そちらの前提をご承知おきいただいた上で。


鉄道を利用する方に限らず、テレビやラジオ、ネットのニュースなどで

「駅のホームを歩いていた人が線路に転落して事故が発生した」

なんて事を耳にする機会があると思います。


ニュースでは「人が転落して…」その後どうなったかの事実を伝えられるだけでしょう。
そのような現場に立ち会う…まさに目の前の人が線路に転落するのを見たなんて事が発生する事は、そうそう多いことではないと思います。

いざ、そのような場面に遭遇した時、どうしたら良いか?
時折ネットでは
「線路に落ちた人を目撃したから、線路に飛び降りて救助した」
なんて話があり、その勇気と行動に称賛の声が集まる様子を目にします。

確かに人を助けるために危険を顧みず、見事に救助するその行為は「結果として」素晴らしい行為であると思います。

「結果として…」
幸い列車が現場に入ってくること無く救助が終わり、転落した人も救助した人も無事で済んだから。
場合によっては、転落者も救助者も命を落とす可能性がある事も忘れてはいけません。

駅のホームで列車を待ってる時ってなかなか目の前に列車は入って来ないものですが、列車って思っている以上に早く走ってくるものです。
急ブレーキを掛けても、なかなか簡単には止まらない…なんて話もよく聞くと思います。

線路に転落した人は、酔っていたり体を痛めていたりで、自分で力を入れられなかったりします。
そう言う人って、想像以上に動かすことは難しいものです。
線路からホームに、短時間で引き上げるなんてのは、結構屈強な男性でも至難の業だと言います。


もし、駅のホームで人が転落するのを目撃したら…
鉄道各社は救助のために線路に立ち入ることは絶対にしないで下さいと呼びかけています。

二次被害を起こすわけにはいかないのです。
二次被害…救助者まで列車に撥ねられるなどの事故に巻き込まれること。
助けに入った方が不幸にも事故に巻き込まれる話は、決して少ない話ではありません。
有名なところでは、JR新大久保駅での事故などもあります。

では、転落を目撃したらどうするか?

駅のホームにこのような物があるのはご存知でしょうか?

20180719_非常停止1
※写真はこれ以降も全てJR線某駅にて撮影。私はJR関係者ではありません。JR利用者。

駅の壁や柱などに、このようなものがあります。
鉄道会社によって形状などが異なるものもありますが、大体こんな感じ。
「非常停止ボタン」
と言います。
今は多くの鉄道会社で、概ね1両に1ヶ所の割合(18m~20mごとに1ヶ所)でホームに設置されています。

20180719_非常停止3

このボタンは、その名の通り非常事態が発生したときに列車を停止させるボタン。
このボタンを押すと、駅のホームではブザーが鳴り非常を知らせ、ランプが点灯しどのボタンが押されたかの表示をします。
また、システムが連動して周辺にいる列車に停止信号を発報し列車を止めます。
(鉄道会社・路線ごとのシステム・その他機器により異なることもあります。)

駅のホームからの転落を目撃したら、ためらわずこのボタンを押します。
このボタンは駅係員・関係者だけが扱うものではありません。
危険を察知した人は誰でも押して良いのです。

ブザーが鳴るとか電車が止まるとか…
このボタンを押す事で起きる状態に恐れをなしてしまい、結構ボタンを押すのに勇気が…なんて話もあるようですが。

20180719_非常停止2

このボタンは

「安全を確保するためのボタン」

と考えれば、押す勇気も出てくるでしょうか。
転落を目撃した時、ボタンを押すのに協力するだけでも多くの安全が確保できるのです。

その後は、駅係員などの関係者に任せれば良いのです。
目撃者として転落時の状況などを聞かれるかと思いますので、そちらの証言には協力を。

20180719_非常停止6

ホームからスマートホンや靴、小物などを線路に落としてしまった場合は、このボタンは使用しません。
改札口で駅係員に申し出るか、ホーム上に連絡用インターホンがあれば、そちらを利用します。

但し、トランクやスーツケースその他大型のもの、落としたものがレールに掛かっているなど、列車の運行に支障が発生するような場合は「非常停止ボタン」になります。
「線路にボーリングの玉を落として、2本のレールの間に落下したので非常停止ボタンを…」
なんて話も聞いたことがあります。


現在は駅のホームには「ホームドア」の設置が進められ、ホームからの転落の危険性が取り除かれるように対策が取られていますが、全ての駅に設置が実現するのはなかなか難しい話。

万が一、線路への転落や、人に、列車に危険が生じる事態などで安全を確保しなくてはいけない場面となった時。

駅のホームの壁や壁面にある黄色い箱。
「非常停止ボタン」
を思い出してください。

「線路には絶対に降りない」
鉄則中の鉄則。
線路に降りるのは、駅係員・関係者に任せるべき仕事と考えましょう。


…記事長いね。もうちょっと簡易版も作ろうかしら?
ホントはJRとか大手でセンスのある鉄道会社がCMでも作って周知するのが良いんじゃないかな?
こんな素人の零細ブログじゃなくてさ。