数年前、JR高崎線の「ホームライナー」「新特急」は、全席指定可能の「スワローサービス」を導入した
「スワローあかぎ」号に統一されました。
運転区間も、従来の「ホームライナー」が鴻巣までだったのに対し、ホームライナー該当時間発の列車は本庄行に延伸となりました。
ホームライナーは1乗車500円。
新特急では自由席特急料金が50kmまでで500円と言った区分だったでしょうか。
スワローサービス導入に伴い料金が改定となり、事実上の値上げと相成りました。
そもそも、スワローサービスとは…
普通車全席を対象に座席指定をすることが可能で、事前に駅で指定を購入しておく場合と、車内で料金を支払う場合で金額が異なります。
また、「えきねっとチケットレスサービス」を利用して指定を取れば、好きな時に好きな座席位置で指定券を取ることが出来て、更に料金も100円引き。
指定を取った後の変更も無手数料で(払戻は手数料必要)。
時間が指定できない場合でも、「座席未指定券」を購入すれば事前料金で利用でき、席は指定できないものの空席を利用することが出来ます。
(但し、後から利用している席の座席指定券を所持する方が来た場合は移動する必要があります)
高崎線特急のスワローサービス導入と似たような時期に、常磐線特急「ひたち・ときわ」でも全席指定席化がなされました。
インターネットの鉄道マニアの方々の反応は、まあ酷評で…と言っても、料金の話ばかりですが。
「値上げで金に汚い」
「守銭奴」
「これだからJR東日本は…」
最近、JR東日本は他路線のホームライナーも特急化・全席指定席化の導入を検討しているとかいないとかで、上記のような反応を目にする事もありますが…
「座席指定のない、過去の新特急やホームライナーとか、お金払って乗ったことありますか?」
以前、高崎線には185系車両を使用した「新特急あかぎ」14両編成や、「ホームライナー鴻巣」7両編成などが運転されていました。
グリーン車を除き全席自由席(ホームライナーはグリーン扱いなしで、グリーン席含め全席自由席)で運転されていたこの列車。
利用者の座席使用の傍若無人っぷりが酷くて…
二人がけで並ぶ座席、片側に人が座り、空いてる方に荷物を置く…
席が埋まってきても荷物を避けるでもなく。
荷物を避けてもらおうと声をかけた後から乗車した人は嫌な顔をされたり、何故かキレられる人もいたり…
もっと露骨に、二人がけの通路側に人が座り、窓側に荷物。
こうなると空席とて声もかけにくいからと、一人で2座席独占する作戦。
こんななので、14両編成にしても実際に席が埋まるのは二人がけの片側だけが多くて無駄に1列開くような状態。
そして、デッキで立席の方が結構いるような感じで。
全席指定にする背景には、こう言う意見が結構あったんじゃないでしょうか。
発券システム等の進化で、車内検札省略にも繋がると言うサービス向上と車掌の人員削減みたいなメリットもあったのかも知れません。
利用者としても、席を確実に確保できる…
始発駅は勿論、途中駅からでも席をキチンと確保でき、わざわざ人に声をかけて荷物を避けてもらう…
そこで嫌な思いをしなくても済むとか、結構メリットは大きいものです。
14両編成だった「新特急あかぎ」は、「スワローあかぎ」になって一部列車は11両編成になりました。
料金値上げによる利用数減もあったでしょう。
座席指定・車内秩序の向上により一人1席が徹底されてキチンと席が埋まるようになりましたので、今や全列車7両編成での運転になりました。
それでも、席は満席完売とは言わずも結構な乗車率で運転をされています。
若干の値上げで需要を減らし、全席指定でキチンと席を詰める事で…
JRとしても
・編成の短編成化
・それに伴う、乗務員の削減
・車内秩序の向上
利用者としても
・全席指定による確実な席の確保
・以前のような余計な気兼ねの心配がなくなる
・車内検札省略によるサービス向上
値上げ分も払う代わりに、それなりのメリットも享受しているワケで。
自分はスワローあかぎを利用する際には、必ず先にも書いた
「えきねっとチケットレスサービス」
を利用します。
料金的にも有利になりますし、乗車前に券売機や窓口にも行かず指定が取れ、予定が変わってもスマホですぐに変更可能。
乗車ごとに付与される「えきねっとポイント」をSuicaチャージに利用することで、実質的割引のような特典も受けられたり。
値上げをされても、有利に使う方法を探れば何かしらあったりするものです。
そんな感じで、何が言いたいかと言うと、JR東日本の特急の全席指定化。
確かに多客時に自由席詰め込みが効かないとか、飛び込みで乗車したい場合に困る…と言う意見もわからないではないのですが…
少なくとも、単に「値上げ反対」を理由にJR東日本を叩くのであれば、ちょっと違う気がするな…
と言う、「自身がスワローあかぎを料金を払って利用している身」として感じることであります。
「運賃」に関する議論は、確かに高い安い色々あるでしょう。
「料金」は、払わなくても普通電車等で移動の手段を確保されています。
「料金」は納得できなければ利用しなければ良い…と言う事になります。
公共交通に置いてあまりにも法外な料金なら…とも思いますが、スワローサービスについては、まあ適正価格じゃないかと「いち利用者の意見」として思います。
安く乗れることに越したことはないんですけどね…
そこは需給調整まで考えての設定でしょうか。
安くして、以前みたいな傍若無人に座席を使う客が戻ってきてもよろしくないな…と。
料金値上げは、ある意味「ふるい」効果を狙ったのでは…
そう考えると、JR東日本、緻密な計算をしてるんだなぁ…って思ってみたり。